皆さん、こんにちは!
蒲郡製作所の伊藤です。

いつも大変お世話になります。

今年に入って、5度目の投稿です。
ずいぶんご無沙汰してしまいました。
この間、バタバタと飛び回っていたことは確かですが
投稿する時間がなかったかというとそうでもありません。
とにかく気持ちに余裕がなかったのだと反省しております。

さて、今回は先週末に岡崎北高等学校で開催されましたものづくり講座のご紹介です。
この講義は、国のサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトの
ひとつとして行われ、高校生にものづくり技術のすばらしさと感動を
伝えることを目的としています。

担当教諭の米津先生の熱い想いが実り、実現しました。

昨年末には、カムイスペースワークスの植松努さんの講演と
校庭でのロケット打ち上げや
豊橋市にあります微細精密加工で有名な樹研工業の見学と
松浦社長さまのご講演も開催されました。うらやましい限りの内容ですね。

今回行われましたのは第3回目の講義で
豊橋技術科学大学の村上良彦准教授にお願いし
「生き残れるか?日本のモノづくり」と題したお話がありました。
私が村上先生をご紹介させていただいたこともあり
今回特別に、授業に参加させていただきました。

okakita

まさにタイムリーな話題であり
技術的な話ばかりでは、興味を引かない話を
日中の賃金格差の話や仕事で海外に行かれた際のエピソードを交えながら
楽しく学べるわかりやすいお話をしていただきました。

モノづくりのグローバル化が進む中で
日本のモノづくり技術は、今は世界一ですが
優位性を保てるのは、長く見てもあと5年・・・。

労働人口も資本力も圧倒的優位である中国を目の前にして
日本のモノづくりが目指す方向性は、以下の4つであるとヒントをいただきました。
 ① 難削材加工 固くてとか粘りがあってとかとにかく削りにくい材料の加工
 ② 微細加工  直径φ0.1mmの工具を使った加工
 ③ 高速・高精度加工 従来の数倍・数十倍の速度で、高精度にものを作る加工
 ④ 環境対応型加工 電力、油、材料等資源を少なくして、加工を行う

ものづくりでは、従来から所謂Q,C,Dの大切さが言われてきました。
この中で、何が一番大切だと思いますか?という質問に
ほとんどの高校生が「Q:品質だ!」と答えました。
正解は・・・。本来はどれも大切でどれが一番かはケースバイケースです。

これからのものづくりでは・・・
コスト優先でそこそこの品質を保つモノづくりは
中国を始めとする東南アジア諸国の得意分野です。
日本は、残されたひとつのD、つまり時間を売りにすることが大切だそうです。

新幹線を始めとする日本の列車ダイヤの正確さは
世界でもトップだと言われています。
納期を守ることと超短納期に対応することができれば
それが企業の売りになることは間違いありませんね。
今日注文が出て。「明日でいいで、持ってきてよ。」とのご依頼に
対応できるのは、やはり近場の工場ということです。

とはいえ、最後はコストパフォーマンスが問われる時代です。
品質がよく高い製品を作るのか、安くてそこそこの品質の製品を作るのか
それとも、その中間のモノづくりをするのかも難しい選択です。
しかし、当社の目標は、高品質で付加価値の高いものづくりです。

その他にも
 ・Just in Time  ・円高について
 ・人財の話      ・力をあわせたモノづくりの大切さ
 ・医工連携      ・知識と知恵の違い
 ・5Sの大切さ   
などなど盛りだくさんの一時間半でした。

最後に、Serendipityのお話をされました。
日本語に訳すと、「偶察力」だそうです。
普通の人が気付かないことに「あれっ、いつもと違う?」と
気付ける能力です。掘り出し物を見つける才能と言い換えることもできます。
青色発光ダイオードを開発した中村先生も実験の失敗から
普段見落としてしまうような現象をきちんととらえたことが
偉業を成し遂げるポイントだったそうです。

セレンディピティという能力は
優秀だとか頭がいいとかよりも
常に意識をそちらに向けていることだと私は思います。
それに加えて、少し変わり者であることでしょうか。
誰にでもチャンスはあると思います。
密かに、イグノーベル賞を狙っている私もそのひとり・・・。(^^)v

村上先生のお話の後には
きちんとその場で学びを深めるための小グループに分かれての
ディスカッションの場もあり、熱心に感想を語る若者の姿を見て
将来はぜひ!モノづくりの現場に立って欲しいと願いました。
若さっていいですね。モノづくりっていいですね。

最後になりましたが、企画にご賛同いただき、ご協力いただきました
植松さん、松浦さん、村上先生には、大変感謝しております。
ありがとうございました。