皆さん、こんにちは!

今日は、大西さんのご質問について、考えてみます。

<質問>
 自社商品(製品)の値付けはどのような基準で行なって
 おられるのでしょうか
                      (事務局 大西啓之)


当社の主な仕事は
光学機器、医療機器、半導体機器、計測機器、燃料電池関連
光通信機器、航空宇宙関連等のいろいろな分野のメーカーから
図面をいただき、それを具体的に製造することです。

材料を購入し、いろいろな工作機械を駆使して
切ったり、削ったり、磨いたりしながら
ひとつの部品を作り上げていきます。

こうして、付加価値をつけることで利益を得ているわけです。
5円で購入した材料を、製品として100円で売ることもあれば
1,000円で売ることも、場合によっては、10,000円になることもあります。

その違いはどこにあるのでしょう。

今は亡き父からは
「製品の値決めは、経費を加算してするな!
   その製品の付加価値によって、値段を決めろ!」
と、何度も何度も教え込まれました。

たとえば直径5mm長さ10mmのステンレス製のピンを作るのには
寸法精度によっては、1時間かかる場合もあります。
でも、ただのピンに1時間かかったからといって
数千円を請求するわけにはいかないのです。

反面、たとえ10分で作れるものでも
まわりに作れる人がいないような
製作するのに難易度の高い仕事であれば
それなりの対価をいただくことが可能なのです。

自社の強みを生かし
競合他社がいない市場で
それをわかりやすい言葉で顧客に伝えることができれば
価格競争に巻き込まれずに、自分で値決めができます。

社内の仕事を、こうした特化した仕事ばかりにできれば
自立型企業となり、高収益を挙げることができますね。
ところが現状は、こうした仕事は全体の2,3割にすぎません。
大半は、厳しい価格競争にさらされています。

長年、業界で仕事をしていますと
各企業の購買担当者の方とのお話の中で
図面を見ると、その製品の価格が自然と浮かんでくるようになります。
大体幾らくらいなら、仕事がいただけるかがわかるようになるのです。
そうなったら、自分の思うまま仕事ができそうなものですが
現実はそんなに甘くはありません。

リーマンショック以降の愛知県では
かなりの値崩れが起きており
ほとんどの仕事は求める価格の50%から70%で
浮かんでくる価格は、当社の希望価格以下のものが多いのが現状です。

今回の不況は循環型の不景気ではなく
大きな社会変革が原因で起きているのですから
自らが変わり、新しいビジネスモデルを作り上げない限り
自社が儲かることはないと思います。

亡父の教えは、正直なところ
”そんなこと言ったって、そんな仕事がどこにあるんだ?”
と言いたいところですが、考え方の基本だと思います。
お客様が何にだったら、感動していただけるのか
その対価として、自社を評価し、対価としてお金をいただけるのかを
真剣に考え直すよい機会が今回の不景気ではないかと思います。
自社製品にいかに付加価値をつけるのか。。。難しい問題ですね。